貧血予防のために必要な栄養素と食べ方の工夫 2018.06.08 fri

初夏を迎え、汗ばむ季節がやってきました。夏場は汗と共にミネラルを失いやすく、貧血になりやすい季節でもあります。頭痛や動悸、疲れやすいなどといった症状が現れたら鉄不足の可能性も。今回は貧血予防のために必要な栄養素について、また、それらを効率よく摂取するために食べ方の工夫をお伝えします。

貧血にはいくつかの種類がありますが、ほとんどの貧血が鉄不足により起こる「鉄欠乏症貧血」です。鉄は赤血球の成分であるヘモグロビンの構成成分となり、全身の細胞に酸素を運ぶ役割を担っています。よって、鉄が不足すると全身が酸素不足となり、頭痛や動悸、集中力の低下や食欲不振などの症状が現れます。この他に、赤血球の生成に関与するビタミンB12や葉酸の不足により起こる「巨赤芽球性貧血(悪性貧血)」などがあります。

鉄(ヘム鉄、非ヘム鉄)

貧血の予防には、第一に鉄の摂取が大切です。鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があり、前者はレバーをはじめとする肉や魚などの動物性食品に多く、後者は野菜や大豆製品などの植物性食品に含まれます。ヘム鉄は非ヘム鉄に比べて吸収が良いため、貧血予防には積極的に摂るべき鉄分です。非ヘム鉄はヘム鉄に比べると吸収されにくいため、吸収を助ける栄養素と合わせてとることが大切になります。

【鉄を多く含む食品】

  • ヘム鉄
    → レバー、砂肝、牛肉(赤身)、かつお、アサリ など
  • 非ヘム鉄
    → 油揚げ、厚揚げ、納豆、小松菜、ひじき(鉄釜使用の場合)など

鉄の吸収を助ける栄養素(ビタミンC、たんぱく質、クエン酸)

ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を助けてくれる栄養素のひとつ。非ヘム鉄を含む油揚げや納豆などの大豆製品やひじきを食べる際は、ビタミンCが豊富なパプリカやゴーヤ、ブロッコリーなどの野菜を合わせて摂るようにしましょう。また、動物性たんぱく質にも同様の働きがあるとされます。梅干しや酢、レモンなどに含まれるクエン酸にもミネラルの吸収を助ける働きがあるので、これらを使って味付けのアクセントにするのもよいでしょう。

【非ヘム鉄を効率よく摂取するメニューの一例】

  • 厚揚げのホイコーロー風炒め
    厚揚げ(非ヘム鉄)+キャベツ、ピーマン(ビタミンC)
  • ひじき入りハンバーグ
    ひじき(非ヘム鉄)+ひき肉(たんぱく質)
  • 油揚げと小松菜のお浸し(酢の物)
    油揚げ(非ヘム鉄)+小松菜(非ヘム鉄、ビタミンC)
  • 納豆とツルムラサキのビビンバ
    納豆(非ヘム鉄)+つるむらさき(ビタミンC)

造血作用のある栄養素(ビタミンB12、葉酸)

赤血球の生成に関与しているビタミンB12や葉酸の摂取も心がけましょう。これらの栄養素が不足すると正常な赤血球が作られず、巨赤芽球貧血(悪性貧血)を引き起こす原因となります。ビタミンB12は魚介類などの動物性食品に多く含まれ、葉酸は枝豆やブロッコリー、ほうれん草などの野菜に豊富です。

特に女性は、月経や妊娠・出産により鉄を多く損失するため、この場合、通常よりも多く摂る必要があります。無理なダイエットや偏食は鉄不足の原因になるので気をつけましょう。貧血の予防には、日頃から鉄を多く含む食品を意識するとともに、バランスのよい食事を心がけることが大切です。精の付くレシピ集では、鉄分が補給できるメニューも紹介しています。是非参考にしてみてくださいね。

亜鉛 … 免疫力アップ、糖尿病予防、疲労解消

セレン … 精子の形成や老化・がん予防

マンガン … 骨の形成、糖質・脂質の代謝

ビタミンE … 抗酸化作用、血行促進効果

ビタミンB1 … 疲労回復、スタミナ増強

ビタミンB2 … スタミナ増強、過酸化物質を除去

ビタミンC … 免疫力を高める、抗酸化作用

アルギニン … 精子数や精子の運動率を上げる、子宮内膜を厚くする

アスパラギン酸 … 疲労回復や利尿作用

ムコ多糖類 … 疲労回復や滋養強壮

クエン酸 … 疲労回復、スタミナ・食欲増進

執筆者

緑川 鮎香

管理栄養士・フードコーディネーター・オリーブオイルジュニアソムリエ


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