勃起の仕組み

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

勃起は一見すると、単純で動物的な現象のように思えますが、そのメカニズムは意外に複雑です。勃起が起こるためには、神経や血管が正常に働き、また勃起に関わるさまざまな物質が放出されなくてはいけません。

男性の陰茎には、左右一対の陰茎海綿体と、その下に1本の尿道海綿体が通っています。このうち勃起に関係するのは、陰茎海綿体のほうです。
海綿体は細い糸のような血管が無数に集まったスポンジ状で、周りを分厚い白膜が覆っています。非勃起時には、陰茎海綿体につながる血管や平滑筋は収縮した状態で、血液が中に押し寄せることはできません。おもに毛細血管を通して、海綿体組織に栄養や酸素を運ぶだけにとどまっています。

しかし男性が性的刺激を受けると、まず脳の中枢神経が興奮し、その情報が脊髄神経を通って陰茎へと伝わります。すると体内では一酸化窒素が放出され、これが勃起のGOサインとなります。

一酸化窒素が放出されると、勃起にもっとも関わる陰茎深動脈という血管と、バルブのような役割を果たしているラセン動脈(螺行(らこう)動脈)がゆるみ始めます。
さらに海綿体の平滑筋も弛緩することによって、多量の血液を受け入れる準備が整います。そして一気に海綿体へと血が流れ込み、無数の糸のような血管に血液が流れ込み、血液の圧力によって、海綿体は硬くなります。これが勃起という現象です。
一旦、勃起すると、海綿体を覆う白膜がパンパンに膨れた状態となり、静脈が圧迫されます。これによって陰茎の内圧が上がり、一度流れ込んだ血液が簡単に出て行くことなく、勃起が維持されます。


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血液が海綿体に流れ込むことで勃起は起こりますが、この時に非常に重要な役割を果たす物質が「サイクリックGMP(グアノシン一リン酸)」です。いわば体内で産生される自然の血管拡張剤であり、これが細胞内で増えることによって陰茎の平滑筋がゆるみます。

性的刺激を受けて一酸化窒素が放出されると、サイクリックGMPが増加します。しかし陰茎海綿体には、これを分解してしまう「PDE(ホスホジエステラーゼ)5」という酵素も豊富に存在しており、両者のせめぎ合いが起こるのです。

射精後や、性的興奮がしずまった後で勃起が終わるのは、PDE5のおかげでもあります。PDE5がサイクリックGMPを分解することで、血管や平滑筋が閉じ、勃起が収束します。

しかし性交時にPDE5が増えすぎてしまうと、サイクリックGMPが分解されてしまい、勃起が妨げられてEDにつながります。バイアグラなどのED治療薬は、まさにこのPDE5の働きを抑えることでサイクリックGMPを増やし、勃起しやすい状態に導く薬です。

勃起は射精後、もしくは性的興奮がしずまった後で終わります。この時に活躍するのが、前述したPDE5という酵素です。
性的興奮がおさまり、生成される割合より、PDE5によって分解されるサイクリックGMPが多くなると、サイクリックGMPによって広がっていた血管は再び収縮し、充満していた陰茎海綿体の血液は体内に戻っていきます。すると陰茎も柔らかくなり、元通りの状態になります。

女性も性的興奮と性的刺激により海綿体組織である陰核(いんかく)前庭球(ぜんていきゅう)が充血して膨張することで勃起します。陰核の先端は陰核亀頭(クリトリス)といい普段は陰核包皮と小陰唇(しょういんしん)に覆われているため外からは見えない状態ですが性的興奮により陰核の海綿体に血液が充満して膨張して勃起することで露出し更に性的な刺激を受けやすくなります。陰核亀頭の露出度合には個人差があり、勃起後も包皮に覆われたままの人もいます。

陰核は体内にあり【図1】のように唯一、性的興奮に露出する先端の陰核亀頭(クリトリス)から膣壁に沿って二股に細長く伸びた海綿体組織の陰核脚(いんかくきゃく)までが陰核の全容であり、勃起時は陰核全体が膨張します。前庭球は尿道と膣口を挟むように体内に存在し、縦長な卵型で外側の面は陰核体と密着しています。

性的興奮により陰核の海綿体組織に血液が充満して硬さが増すと同時に膣の両側にある前庭球の血流も増し膨張し、膣内および膣口がバルトリン腺やスキーン腺から膣内の保護及び男性器の挿入を手助けする膣分泌液が供給される。この時に小陰唇の血流も増し膨張して左右に開いてくることで陰茎を挿入する準備が整います。

陰核前庭球は【図2】の位置の体内にあり、膨張(勃起)することにより挿入後の陰茎から膣壁への圧を高め前庭球と密着している陰核への刺激を増幅させ女性のオーガスムを増幅させる役目を果たしています。

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性的刺激とは関係のない勃起もあります。健康な男性では、就寝中にも生理的な勃起(夜間勃起)が見られます。人は眠っている間、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を90分毎に繰り返しています。

就寝中に勃起が起こるのは、夢をよく見る浅い眠りの「レム睡眠」時です。この間に特定の神経が刺激されることで勃起します。健康な男性であれば「レム睡眠」のたびに勃起しています。通常、朝目覚める時には「レム睡眠」の時が多いので朝起きると勃起していることが多いのです。この状態が「朝勃ち」ということです。

何故、眠っている間に勃起をするのか?
ノンレム睡眠中は体の機能を回復するためにリラックスし副交感神経が優位になります。リラックスすることで疲れていた脳や身体が回復し、免疫力を高めたり、成長ホルモンの分泌させたりと抗老化の役目も担っています。レム睡眠の夜間勃起は勃起することで生殖機能を維持できるようにするための体のメンテナンスの一環なのです。男性の生殖器のメンテナンスに欠かせない生理現象と認識しておくと良いでしょう。

女性にも夜間勃起はある

女性も男性同様に「レム睡眠」時に陰核が勃起(参照:女性の勃起について)することがあります。時には小陰唇や大陰唇の血流が増加による膨張もあります。この原因はまだ解明されておらず、単に性的な夢を見た時に生じているだけの可能性も否定できません。一部の研究者は男性の夜間勃起同様、生殖機能のメンテナンスを担っているとする方もいます。

Q.勃起時の男性器の理想的な大きさをお答えください。

【回答者】
20~50代男性 (10歳階級:各650名)合計:2,600人
20~50代女性 (10歳階級:各650名)合計:2,600人
集計期間:2022年1月14日~1月17日
調査方法:インターネット集計

リサーチ協力 ⇒ 株式会社ネオマーケティング

調査結果詳細

年代 大きい
方がよい
18cm以上
やや大きい
方がよい
15~17cm
普通サイズ
がよい
12~14cm
やや小さい
方がよい
10~11cm
小さい
方がよい
10cm未満
大きさは
気にしない
合計

20代 77 (11.8%) 252 (38.8%) 216 (33.2%) 6 (0.9%) 3 (0.5%) 96 (14.8%) 650 (100%)
30代 73 (11.2%) 247 (38.0%) 242 (37.2%) 7 (1.1%) 2 (0.3%) 79 (12.2%) 650 (100%)
40代 86 (13.2%) 228 (35.1%) 271 (41.7%) 4 (0.6%) 0 (0.0%) 61 (9.4%) 650 (100%)
50代 80 (12.3%) 229 (35.2%) 282 (43.4%) 7 (1.1%) 0 (0.0%) 52 (8.0%) 650 (100%)

20代 25 (3.8%) 170 (26.2%) 252 (38.8%) 15 (2.3%) 6 (0.9%) 182 (28.0%) 650 (100%)
30代 20 (3.1%) 155 (23.8%) 284 (43.7%) 20 (3.1%) 11 (1.7%) 160 (24.6%) 650 (100%)
40代 21 (3.2%) 138 (21.2%) 302 (46.5%) 14 (2.2%) 5 (0.8%) 170 (26.2%) 650 (100%)
50代 21 (3.2%) 82 (12.6%) 316 (48.6%) 14 (2.2%) 9 (1.4%) 208 (32.0%) 650 (100%)
男性
合計
316
(12.2%)
956
(36.8%)
1011
(38.9%)
24
(0.9%)
5
(0.2%)
288
(11.1%)
2600
(100%)
女性
合計
87
(3.3%)
545
(21.0%)
1154
(44.4%)
63
(2.4%)
31
(1.2%)
720
(27.7%)
2600
(100%)

対象者:20~50代男性 2,600人

1位:普通サイズでよい[12~14cm程度](38.9%)
2位:やや大きいほうがよい[15~17cm程度](36.8%)
3位:大きいほうがよい[18cm以上](12.2%)

4位:大きさは気にしない(11.1%)

対象者:20~50代女性 2,600人

1位:普通サイズでよい[12~14cm程度](44.4%)
2位:大きさは気にしない(27.7%)
3位:やや大きいほうがよい[15~17cm程度](21.0%)
4位:大きいほうがよい[18cm以上](3.3%)

女性で大きさを求める人は4人に1人(「やや大きいほうがよい」「大きいほうがよい」を合算すると24.3%)ですが、男性は、予想通り約半数(49%)が平均以上の大きさを求めていることがわかりました。
また、「大きさは気にしない」と回答した女性は約3.6人に1人(27.7%)、男性は9人に1人(11.1%)という結果からも勃起時の大きさは圧倒的に男性の方が重要視しているということになります。

つまり勃起が正常に起こるためには、性的刺激を脳から陰茎へと届ける神経、一酸化窒素の放出、そしてサイクリックGMPの増加と、動脈の弛緩、静脈の圧迫など、さまざまな働きがシステマティックにおこなわれる必要があります。
いずれかに問題が生じるだけで、EDになるリスクがあるということです。

特に血管のトラブルは多く、その原因は主に加齢による動脈硬化ですが、中には糖尿病をはじめとする生活習慣病が関わっているケースもあります。性的興奮しても勃起が起こらない、もしくは勃起しても持続しない(中折れ)などの症状がある男性は、ぜひ一度医療機関にかかるようにしましょう。
現在では、EDを根本から完治させる治療法は存在しませんが、内服のED治療薬で多くの場合、驚くほどの効果が得られます。


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