レビトラの副作用について

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

レビトラはバイアグラ同様、血管拡張作用があるので効果発現時に「顔のほてり」「目の充血」「頭痛」「動悸」「鼻づまり」等の副作用がございます。これら副作用はレビトラを服用する4割程度の方に付随するものですので、あまり気にせず薬が効いてきた合図くらいに思っていて下さい。頭痛が気になるようでしたら市販の頭痛薬と併用しても全く問題ございません。

副作用には個人差がある

副作用の現れ方には個人差がありますので、レビトラの副作用が気になる場合は他のED治療薬(バイアグラやシアリス)を試すなどして自分に合ったお薬を探してみて下さい。その他の副作用として光に過敏になり色が変化して見えたり、胸やけ、背部痛等もございますが、作用している4~6時間で症状が治まるようであればあまり気にされなくても大丈夫です。どうしても気になる症状が出る場合は必ずご相談ください。

PDE5型以外も阻害作用がある

勃起は、局部にcGMPという物質が放出されると海綿体の血管が拡張され血液が流れ込むことで起きます。一方、PDE5(ホスホジエステラーゼの5型)という酵素がcGMPを分解することで海綿体の血管が収縮し勃起が収まります。レビトラはcGMPを分解するPDE5を阻害することで勃起補助をしてくれます。人体にはPDE5以外に「1~11」までのPDEが体全体の各所で発現します。レビトラは「1~11」の中で選択的に5型を阻害する作用が強いので勃起不全に一役買ってますが実は5型以外も阻害するのです。これが副作用の発症の要因でもあります。PDE阻害作用から見た副作用については以下が参考になるのでご参考下さい。

例えば、レビトラの副作用報告に青視症があります。これは青色のものが鮮やかに見えたり、ものが青っぽく見える症状です。主に、白内障の手術後にも起きる症状で水晶体を除去して人口の水晶体(眼内レンズ)を挿入すると今まで青色光線を遮っていた自身の水晶体が無くなるので、光を感じる神経である黄斑まで青色の光が届きやすくなるためです。レビトラの副作用の場合、主成分であるバルデナフィルがPDE5以外にPDE6という光の信号が視神経から脳への伝達に関わる酵素も阻害することが影響しているからです。その他に霧視(むし)・視力障害・羞明等もPDE6の阻害からくる副作用である可能性が高いです。

2021年2月改訂(第18版)レビトラのインタビューフォーム【PDF】を参照

国内データ(承認時)

国内で実施された臨床試験において、本剤5mg、10mg、20mgを投与された総症例913例中257例(28.15%)に副作用が認められた。
主な副作用は、ほてり143例(15.66%)、頭痛51例(5.59%)、鼻閉27例(2.96%)、心悸亢進(動悸)27例(2.96%)等であった。

外国データ(承認時)

外国で実施された臨床試験において、本剤5mg、10mg、20mgを投与された総症例7,080例中2,206例(31.16%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛871例(12.30%)、ほてり749例(10.58%)、鼻閉313例(4.42%)、消化不良230例(3.25%)及び眩暈(めまい)125例(1.77%)等であった。

国内データ+海外データ

上記、国内データ総症例913例+外国データ総症例7,080例の合計総症例7,993例をまとめたデータ一覧が以下になります

副作用の種類発現件数と発現率
7,993例中
頭痛923例(11.55%)
潮紅(ちょうこう)673例(8.42%)
鼻閉327例(4.09%)
消化不良233例(2.92%)
ほてり171例(2.14%)
浮動性めまい129例(1.61%)
悪心(おしん)89例(1.11%)
動悸82例(1.03%)
口内乾燥49例(0.61%)
上腹部痛46例(0.58%)
鼻炎43例(0.54%)
霧視(むし)**42例(0.53%)
熱感923例(11.55%)
紅斑(こうはん)37例(0.46%)
眼充血**34例(0.43%)
視力障害**31例(0.39%)
副鼻腔うっ血923例(11.55%)
下痢29例(0.36%)

**霧視(むし)・眼充血・視力障害以外、目に関する副作用として「羞明:28例(0.35%)」「青視症:24例(0.30%)」「目の異常感:12例(0.15%)」「目刺激:12例(0.15%)等もあり、目に関する副作用合計で234例(2.93%)あります。

再審査終了時

使用成績調査において、3,118例中78例(2.5%)に副作用が認められた。主な副作用は、ほてり39件(1.25%)、頭痛14件(0.45%)、動悸(心悸亢進)12件(0.38%)、鼻閉9件(0.29%)等であった。

次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
※聞きなれない症状についてはクリックしていただくと、どのような症状なのか説明が表示されます、ご参照下さい。

 1~
10%
未満
0.1~1%
未満
0.01~0.1%
未満
頻度不明 *1


ほてり高血圧
心悸亢進
頻脈
顔面浮腫
低血圧
心筋虚血
失神
心筋梗塞*2
起立性低血圧
狭心症




頭痛
めまい
不眠症
異常感覚
傾眠
眩暈(めまい)
感覚鈍麻
緊張亢進
不安
一過性全健忘
 

 肝機能検査異常
γ-GTP増加
  


鼻閉呼吸困難
副鼻腔うっ血
鼻出血
  




 背部痛
筋肉痛
関節痛
頚部痛
 

 搔痒
発汗
紅斑
 光線過敏性反応
発疹


消化
不良
嘔気
腹痛
下痢
口内乾燥
胃炎
嘔吐
食道炎
胃食道逆流
嚥下障害
 


 視覚異常
霧視
彩視症
結膜炎
眼痛
羞明
耳鳴
流涙
 緑内障


 無力症
胸痛
灼熱感
CK(CPK)上昇
異常感
勃起増強(勃起時疼痛等)
射精障害
アナフィラキシー反応
インフルエンザ症候群
持続勃起
 

*1 自発報告等を含むため頻度不明
*2 因果関係は明らかではないが、外国において市販後、本剤投与後に心筋梗塞が発症したことが報告されている。

レビトラに限らず、バイアグラ、シアリス等のPDE阻害薬の副作用としてNAIONの発現報告が2005年頃よりされています。
NAIONとは「non-arteritic anterior ischemic optic neuropathy」の略で非動脈炎性前部虚血性視神経症のことです。中年以降に多く見られ、痛みも無く、主に起床時に片眼に突然の視力低下や視野欠損により自覚する急性の視神経障害です。非動脈炎性と動脈炎性があり、非動脈炎性は高血圧、高脂血症、糖尿病等の基礎疾患を有している場合が多いのです。勃起障害も全く同じ基礎疾患を有している場合が多いので、PDE阻害薬との関連性は未だに明確にはなっていません。
レビトラのインタビューフォームには、NAIONを発現した45歳以上の男性を対象に外国にて実施された自己対照研究にてPDE5阻害薬を服用後、消失半減期の5倍の期間内にてNAIONの発現リスクが2倍になるとの報告がされているとのこと。レビトラの場合は半減期が「10mgで約3時間10分」「20mgで約4時間」なのでその5倍の期間、つまりレビトラ服用後「10mgで約16時間」「20mgで約20時間」はNAION発現リスクが倍になるということです。

このような理由から未だにレビトラとNIAONの関連性は否定できません。レビトラ服用後に視力や視野の明らかな異常を自覚した場合、服用をすぐに中止し眼科を受診して下さい。


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