EDの自己診断法

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

実は、EDの診断には、世界的な判断指標があります。「国際勃起機能スコア( IIEF5 = International Index of Erectile Function5 )」というものです。臨床の現場での問診や治療後の回復度をはかるために使われるもので、5つの質問に答えるだけでEDの状態をチェックできます。5点満点の各設問に回答し、計25点満点中22点以上の場合はEDの可能性が高いとみなされます。

ただし、このスコアで22点以上を出すのは正直難しいと言えます。私の見解では、その判断基準は"少し厳しすぎる"というのが本音です。そもそもこのスコアは医療従事者向けの診断法のため、個人のセルフチェックには向かない面もあるのかもしれません。

しかし最近、一般の方でも気軽にEDをセルフチェックできる診断法が生まれてきました。アメリカで「勃起の硬さスケール( EHS = Erection Hardness Score )」なるものが考案されましたが、これをもとに2009年に日本語版のEHSが誕生したのです。

日本語版のEHSでは、下記のように勃起時のペニスの硬さを5段階で評価します。

  • グレード0 → 陰茎は大きくならない
  • グレード1 → 陰茎は大きくなるが、硬くはない
  • グレード2 → 陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない
  • グレード3 → 陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない
  • グレード4 → 陰茎は完全に硬く、硬直している

さらに、それぞれのグレードのペニスの硬さをイメージしやすいよう、その硬さを次のように果物でたとえています(なぜかグレード1だけ「こんにゃく」ですが、その硬さに相当する果物がなかったのでしょう)。

この日本語版EHSを使った調査がバイアグラの製造販売元(現在はヴィアトリス製薬)であるファイザー社によって実施されましたが、「グレート4」と回答した男性は20~30代で5割以上、40代では36%、50代では21%、60代にいたっては11%という結果でした(成人男性7,710人が回答)。ここからも、年齢とともに勃起機能が低下していくことがよくわかります。

さらにこの結果から、40代が勃起機能低下のターニングポイントであることもわかります。事実、40代以上の回答者の7割ほどが、「SEXの際に十分に勃起せずに失敗したことがある」「勃起時の硬さに自信がない」と回答しているのです。
当院にて2022年に20~79歳の男性、合計6,000人を対象に実施したED有病者数調査でも「EDではない」と回答した人は45歳くらいから顕著に減っています。

なお、こうしたスコアを用いる以外にも、EDをセルフチェックする方法はあります。たとえば、早朝勃起現象(朝勃ち)も重要な判断指標のひとつです。週1回すら朝勃ちしない人は要注意。もちろん年齢にもよりますが、勃起機能に問題がある可能性が高いと言えます。

また、「朝」ではなく「夜」に勃起機能をはかる方法もあります。実は、多くの人は気づいていませんが、我々は夜寝ている間にも自覚なく勃起しています。これは、夜間睡眠時勃起現象と呼ばれるもので、体が自然に行う身体機能の試運転のようなものです。この夜間勃起現象が起きているようであれば、勃起機能は正常に働いていると言えます。

「寝ている間の状況をどうやって確認するのだろう?」と思った人もいるでしょうが、それを確認するための「スタンプ法」なるものがあります。

切手シートの余白部分を帯状に切り取り、就寝前にペニスに巻き付けて貼り付けておくという方法です。もし、目覚めたときにシートが切れていれば夜間勃起現象が起こった証拠というわけです。余白が無い場合はコンビニか郵便局で1円切手を購入して切手自体を貼ってもよいでしょう。また、ジェクスメーターという就寝中のペニスの太さをはかる測定器もあります。気になる方は、専門医に相談してみましょう。

このように自身の勃起機能は、さまざまな方法でセルフチェックすることができます。ぜひ、みなさんも試してみてはいかがでしょうか。ただし、スコアや朝勃ちに問題がない場合でも、以前に紹介した「妻だけにはED」のような心因性のEDの場合はこの限りではありません。

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