ED診療の要点

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

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20~30代の若い世代のEDは、ほとんどが心因性です。そのため、ED治療薬を数回使い自信を取り戻すと自然に改善するケースが多く見られます。
ただし、うつ病治療薬の副作用によるEDの場合は、薬の服用が続く限り改善が難しく、うつ病の改善と薬の中止によって回復します。

35~40歳を過ぎたあたりから、男性は運動能力、体力、記憶力、集中力、免疫力、肝機能、視力などあらゆる“力”が低下していくことには自覚があります。ところが、勃起力や精子の生産能力だけは若い頃のまま未来永劫続くと思い込んでいる方が意外にも多く驚かされます。(もちろん性欲も低下します)

そのような方には「女性も50歳前後で閉経し、生理が止まりますよ」とお伝えすると、「へぇ、そうなんですか」と納得されることがあります。つまり「弱っていく自分」「老いていく自分」を認めたくない気持ちが強く、諸行無常という話から始めなければならないこともあります。

また、「この薬を1~2回飲めば勃起力は永久に治るんですか?」という質問を受けることがあります。しかし、これは前述の内容を理解していない典型例です。
高血圧、脂質異常症、糖尿病、痛風など、“あらゆる病気を根本から永遠に治す薬”は存在しません。血圧の薬を飲んでいる間は血圧が下がりますが、薬が切れれば元に戻るのと同じです。世界中どこを探しても、1回飲めば永遠に酔ったままになるお酒が存在しないことと同じなのです。

50~60歳以上になると、ほとんどの方が年齢による勃起力の低下を自覚しているため、話がよりスムーズに進みます。

治療薬の選択では、薬には低用量・高用量(弱い~強い)があり、患者さんの現状の勃起力に合わせて2~3種類を試すのが一般的です。薬には相性があり、2回目・3回目の来院時には多くの方が自分に合う薬(フィーリングが良い薬)を見つけています。
つまり、特別に優れた薬があるわけではなく、“その人に合うかどうか”が最も重要なのです。

  • まだまだ余力のある人 ⇒ 2回戦を頑張りたいタイプ
  • 少し弱っている人 ⇒ 1回戦途中で萎えてしまう(30~50代で最も多い)
  • かなり弱っている人 ⇒ 初めから全く勃起しない
  • 若い人の特殊パターン ⇒ 始めは硬いが、コンドーム着用や挿入直前に萎える

この“勃起力レベル”に合わせ、弱っている人には強めの薬余力のある人には弱めの薬から開始するのが基本です。また、お酒を飲む方には強めの薬を選ばないと薬の効果がアルコールに負けてしまいます。逆に、お酒が全く飲めない方は弱めから開始することがあります(血管拡張作用により頭痛が出やすいため)。

ただし、慎重になりすぎると薬が効きにくくなるため、“強めでいくか、弱めでいくか”は患者さんと相談しながら調整します。

院長 竹越 昭彦 たけこし あきひこ
略歴
  • 1966年 生まれ
  • 1991年 日本医科大学卒業
  • 1991年 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 浜松町第一クリニック開院
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