クリニックで処方されるED治療薬に偽造品!?
ED治療薬3剤の違い
3剤の違い シルデナフィル バルデナフィル タダラフィル
AGAとは プロペシア ザガーロ ミノタブの危険性 AGA治療薬2剤の違い
2剤の違い フィナステリド デュタステリド オンライン診療
目次※知りたい情報をクリック
浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修
更新日:
当院に来院された患者様から「某男性専門クリニックで見慣れないED治療薬を処方されたのですが大丈夫でしょうか?」との相談を受け、実際の薬剤を見せていただきましたが、正直、驚きを隠せませんでした。
どこをどう見ても国内では正規流通していない色や形状の錠剤であり、それにもかかわらず「メーカー正規品のジェネリックです」と説明され、処方を受けていたとのことでした。
実物を見る限り、青い錠剤はバイアグラ類似品、オレンジ色はレビトラ類似品、黄色はシアリス類似品を装った薬剤と推察されますが、いずれも厚生労働省の製造販売承認を受けていない未認可薬です。
今回、処分を希望された患者様からお預かりした厚労省未認可薬の実物が下記の画像の薬剤です。
このような国内での品質・有効性・安全性が一切確認されていないED治療薬を処方された場合、健康被害のリスクを避けるためにも服用は控えるべきです。不安な場合は、必ず国内正規品を取り扱う医療機関で相談し直すことをおすすめします。
さらに、メールでのお問い合わせでも「某クリニックで国内で流通している正規品とは明らかに異なるレビトラの様ま薬を服用したところ、急に気分が悪くなり、嘔吐と下痢が続いているのですがどうすればよいですか?」といったご相談が寄せられました。これはこの1件に限った話ではなく、同様の症状や不安を訴えるお問い合わせが複数件、継続的に増えている状況です。
「もしかして」と思い、当院グループの分院にも確認したところ、同様の内容の相談が多数寄せられていることが判明しました。特定のクリニック名は控えますが、特定の医療機関で処方されたED治療薬をきっかけに体調不良を訴えるケースが複数発生していると考えざるを得ません。
では、なぜこのような非正規品と思われる薬剤が医療機関から処方されているのか。国内で厚生労働省の安全基準を満たしていない海外製(主にインド製)のED治療薬を、某クリニックの医師が患者への処方を目的として個人輸入しているからです。 このような経路で入ってきた薬は、成分や含有量、安全性が国内基準で確認されておらず、健康被害のリスクが高いため、安易な服用は避けるべきです。
これまでは、インターネット上の個人輸入代行業者が運営する通販サイトには偽造品が多く流通していることから、各製薬会社と連携しつつ、EDに悩む多くの男性に対して注意喚起を行ってきました。
ファイザー株式会社、バイエル薬品株式会社、日本新薬株式会社、日本イーライリリー株式会社の4社は、厚生労働省とも協力しながら、個人輸入の危険性について定期的に啓発活動を行っているほどです。
しかし近年、まさか医師自らが処方を目的として個人輸入に手を出すケースが出てきたことには、正直大きな驚きを禁じ得ません。
なぜなら、これは患者様にとっても、処方する医師側にとっても大きなリスクを伴う行為だからです。
では具体的にどのようなリスクがあるのか、次に詳しく説明していきます。
1万円以上で送料無料。来院歴が無くてもOK。
即日配送。国内正規品のみ。土日も発送。
- 医薬品副作用被害救済制度の対象外になります
医薬品副作用被害救済制度とは、正規の医薬品を適切に使用していたにもかかわらず重い副作用が出た場合に、公的機関から治療費や医療手当などの給付が受けられる制度です。
しかし、厚労省の承認を受けていない未認可薬で副作用が起きた場合は、この制度の対象外となり、治療費は全額自己負担となってしまいます。 - 品質・安全性が公的に確認されていません
海外から輸入された厚労省「未認可」薬は、医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づく厳格な審査・管理を受けていません。
そのため、有効成分が適正な量で入っているのか、異物混入や不純物がないのか、安全に服用できる品質なのかといった点が、公的には一切保証されていない状態です。 - 悪徳業者が製造した偽薬を服用してしまうリスクがあります
厚労省未認可のED治療薬は国内の正規流通ルートには乗らないため、医療機関であっても入手には海外からの個人輸入に頼らざるを得ないのが実情です。 さらに、ED治療薬やAGA治療薬は世界的に需要が高く、悪徳業者による偽造品が非常に出回りやすい分野です。
見た目は本物そっくりでも、成分が全く違う・表示量と大きく異なる・有害物質が混入しているといったケースも報告されており、偽物を服用してしまうリスクは他の医薬品と比べても極めて高いといえます。
- 副作用などのトラブルは「輸入した医師の自己責任」
薬監証明の発給概要には、「輸入した医療従事者が自己の責任のもと…」と明記されています。 つまり、個人輸入した未認可薬を処方し、その結果として患者様に副作用や健康被害が生じた場合、その責任はすべて処方した医師本人が負うことになります。民事上・倫理上の責任はもちろん、場合によっては行政処分や訴訟リスクも否定できません。 - 輸入者本人以外の医師が処方すると違反リスク
薬監証明に基づいて輸入した薬剤を治療に用いることが認められているのは、あくまで「輸入した医師本人」に限られます。 同じ医療機関内であっても、輸入者以外の医師がその薬剤を処方することは認められていません。 したがって、輸入者ではない医師が処方し、それにより健康被害が生じた場合、法令違反や重大な責任問題につながる可能性があります。 - 偽造品・粗悪品を患者に処方してしまうリスク
厚労省未認可の海外製ED治療薬は、当然ながら国内の正規卸を通じた流通経路には乗っていません。 つまり、非正規ルートでしか入手できない薬であり、ED・AGA領域は世界的に需要が高く、悪徳業者による偽造品が特に出回りやすい分野です。
その結果、医師自身が気づかないうちに偽物や粗悪品を患者様に処方してしまうリスクがあり、健康被害が出た場合には医師の信用失墜にも直結します。 - 国内に代替薬があると薬監証明が発行されない可能性
原則として、国内に同等の効能を持つ承認薬(代替品)が存在する場合には、医師による個人輸入に必要な薬監証明が発行されない可能性があります。
そのため、未認可の海外製ED治療薬を輸入・処方することは、法令面・倫理面の双方でグレーゾーンから一歩踏み出してしまうリスクを孕みます。
詳細については、以下の厚生労働省・厚生局の情報を必ず確認しておくことを強く推奨します。
◆医師等が治療に用いるために輸入する場合|厚生局
◆医師による個人輸入について|厚生労働省
- 患者側の「メリット」
患者様側の利点として挙げられるのは、国内正規品よりも安く入手できる可能性があるという一点のみです。
しかしその「安さ」は、品質・安全性・副作用発生時の救済制度をすべて犠牲にして成り立っているコストカットであることを忘れてはいけません。 - 医師側の「メリット」
医師側にとっては、海外製ジェネリックを非常に安価で仕入れられるため、
◆表向きは「正規品より安く提供できる」ことで患者様を集めやすい
◆一方で、原価が低い分だけ正規品よりも高い利益率を得られる
という構図が生まれます。
つまり、患者様にとっての「安さ」というメリットの裏側で、医師側には「利益増」という経済的メリットが働いているという点も付け加えておきたいところです。
その結果、安全性よりも利益が優先されてしまうリスクがあることを十分に理解しておく必要があります。
いかがでしょうか。患者様は「安く薬が手に入る」つもりで、医師は「利益が出やすい」構図になっている一方で、それに伴うリスクや責任は患者様・医師ともに決して割に合うとは言えないように感じます。
これまでは「ED治療薬は個人輸入ではなく、病院で処方を受ければ安心」という前提のもと、「お近くの医療機関に相談しましょう」とお伝えしてきました。ところが、病院であれば必ず安心という“神話”は、残念ながらすでに崩れつつあると言わざるを得ません。
繰り返しになりますが、個人輸入による海外製ジェネリックのED治療薬は、需要が非常に多いがゆえに偽物が混入しやすいという問題があります。これは一般の個人がネットで個人輸入する場合だけでなく、医師が処方目的で個人輸入する場合でも同じリスクを抱えています。
2016年11月24日に製薬会社4社が公表した調査結果によれば、ネットの個人輸入で入手したED治療薬の約4割が偽物だったと報告されています。2009年の同様の調査では55%と、以前よりはやや改善が見られるものの、依然として4割が偽薬というのは看過できない高い割合です。
非正規品を処方するクリニックは避けたいとお考えの方のために、当院では「正規品のED治療薬をきちんと処方してくれる病院の見分け方」を解説したページを用意しています。受診先選びの際のチェックポイントとして、ぜひ参考になさってください。
- 1966年 生まれ
- 1991年 日本医科大学卒業
- 1991年 日本医科大学付属病院
- 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
- 2004年10月 浜松町第一クリニック開院