バイアグラとシアリスが健康保険適用|ただし不妊治療限定

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

厚生労働省は2022年4月からの不妊治療の保険適用を踏まえ、2022年2月2日に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)総会で不妊に関連する既に承認済みの医薬品の薬価収載について諮り、ED治療薬であるバイアグラシアリスを含む「6成分16品目の不妊治療薬」の薬価収載を中医協は了承し、2022年4月より不妊治療の目的に限りバイアグラ錠、バイアグラODフィルム、シアリス錠の処方に健康保険が適用されるようになりました。(ジェネリックであるシルデナフィ錠VI、タダラフィル錠CI、バルデナフィル錠は保険適用外のままです。)

ただし、バイアグラを保険適用で処方するための条件を厚労省は定めていて、以下の7つの要件を全て満たす必要があります。

  1. 処方を行う医師は、泌尿器科で5年以上の経験。特段の理由がある場合には、一般不妊治療管理料に係る施設の届出を行っている保険医療機関に限り、処方可。
  2. 他の医療機関において不妊症診療が行われている患者に対し、当該保険医療機関から紹介を受けて処方する場合は、紹介元の施設と連携し、必要な情報を共有すること。
  3. 処方できる患者は、EDガイドラインに従い、勃起不全と診断された者
  4. 処方される患者又はそのパートナーのいずれかが、投与日から遡って6か月以内に、一般不妊治療管理料又は生殖補助医療管理料に係る保険診療を受診していること。
  5. 1回の診療で処方できる数はタイミング法における1周期分に限り、かつ、4錠以下
  6. 繰り返し処方する場合は、処方の継続期間は6か月間を目安とすること。6か月を超えて投与を継続する場合は、継続の必要性を改めて検討し、原則として初回投与から1年以内
  7. 保険診療において処方する場合、処方箋の備考欄に、保険診療である旨を記載。

病院に行き「子作りで使用するのでバイアグラ下さい」と言って健康保険証を提示すれば簡単に手に入るわけではないのでご注意下さい。

当院では2022年4月以降もED治療薬処方は自費診療のみで行うことから不妊治療目的であっても保険適用はできませんので、あらかじめご了承下さい。
当院の定める条件を満たせば不妊治療目的の場合は特別割引料金にて処方しております。
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不妊治療と偽るのは止めましょう

健康保険証を提示して医療機関で治療及び調剤薬局で処方を受けると毎年送られてくる画像の「医療費のお知らせ」に利用した医療機関や薬局、医療費の総額や支払額が記されます。
何を伝えたいかと言うと、不妊治療と偽って保険適用でバイアグラの処方を受けると家族にバレる可能性もあるので、止めた方がよいですよ!ということです。また不正に健康保険証を使用した場合は当然のことながら医療費の返還義務が生じますので「医療費のお知らせ」で家族にバレなくても、医療費返還通知書で明るみとなるリスクもあることを理解しておきましょう。

今までは自費診療で使用されていたが今回、新たに薬価収載されたことにより不妊治療を対象に保険適用となる「6成分16品目の不妊治療薬」の詳細が以下の通りです。
※薬価は2023年(令和5年)4月1日に適用された薬価改定後のものです。【2024年5月17日現在】

  薬品名 成分名 薬価 効果効能
1 バイアグラ錠25mg シルデナフィル
クエン酸塩
914.6円 勃起不全
満足な性行為を行うに十分な
勃起とその維持が出来ない患者
2 バイアグラ錠50mg 1,214.8円
3 バイアグラ
ODフィルム25mg
974.6円
4 バイアグラ
ODフィルム50mg
1,404.1円
5 シアリス錠5mg タダラフィル 1,118.9円 勃起不全
満足な性行為を行うに十分な
勃起とその維持が出来ない患者
6 シアリス錠10mg 1,233.5円
7 シアリス錠20mg 1,300.6円
8 レコベル皮下注12μgペン ホリトロピン
デルタ(遺伝子組換え)
10,507円 生殖補助医療における
調節卵巣刺激
9 レコベル皮下注36μgペン 26,014円
10 レコベル皮下注72μgペン 45,039円
11 ガニレスト皮下注
0.25㎎シリンジ
ガニレリクス酢酸塩 8,904円 調節卵巣刺激下における
早発排卵の防止
12 セトロタイド注射用0.25mg セトロレリクス酢酸塩 9,057円 調節卵巣刺激下における
早発排卵の防止
13 ルテウム腟用坐剤400mg プロゲステロン 541.90円 勃起不全
生殖補助医療における
黄体補充
14 ウトロゲスタン
腟用カプセル200mg
361.20円
15 ルティナス腟錠100mg 361.20円
16 ワンクリノン腟用ゲル90mg 1,083.80円

2021年に日本生殖医学会が作成した生殖医療ガイドラインにて紹介する不妊治療の方法を【強く勧められる「A」】【勧められる「B」】【考慮される「C」】の3段階で評価しています。この内、「C」を除く「A]または「B」と評価された治療方法は原則、保険適用になっています。

保険適用となる不妊治療

  • 人工授精(精液を注入器で直接子宮に注入し、妊娠を図る)
  • 体外受精(精子や卵子を採取し授精させたあと体内に戻す)
  • 顕微授精(体外受精のうち、人工的に注射針などを使って卵子に精子を注入し授精させる)
  • 採卵(卵巣から卵子を体外に取り出す)
  • 精巣内精子採取(精巣から精子を体外に取り出す)
  • 胚培養(体外受精・顕微授精で授精後の胚を培養液の中で培養させる)
  • 胚凍結保存(体外受精・顕微授精で授精した受精卵を液体窒素で凍結させる)
  • 胚移植(2~3日培養した胚(受精卵)を子宮に戻すこと)

対象者

  • 不妊と診断された男女(事実婚も可)
  • 治療開始時点で43歳未満の女性
    ※「40歳未満は子供1人につき最大6回まで」「40~43歳未満は最大3回まで」

参照元

院長 竹越 昭彦 たけこし あきひこ
略歴
  • 1966年 生まれ
  • 1991年 日本医科大学卒業
  • 1991年 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 浜松町第一クリニック開院
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