AGA(男性型脱毛症)とは
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浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修
更新日:
AGAとは、思春期以降に発症する男性特有の脱毛症のことで、おでこの「生え際」やつむじのある「頭頂部」から髪の毛が徐々に薄くなっていく進行性の脱毛症のことで、頭の左右「側頭部」と頭の後ろ「後頭部」には症状がでないことが大きな特徴です。
AGAの原因物質は、「ジヒドロテストステロン」という男性ホルモンの一種で、このホルモンの影響を受けると、通常は2~6年程度ある髪の毛の成長期が、数ヶ月~1年と短くなり、髪の毛が十分に成長しないうちに抜け落ちてしまいます。なにかの拍子にゴソっと毛髪が抜け落ちるわけではなく、なんとなく抜け毛が多いという状態が続き、じわじわと進行していくこともあるため、本人は気が付かず、家族や友人から言われてはじめて気が付くということも少なくありません。進行性のため、治療をせずにそのままにしておくと、頭皮から表に髪の毛が現れなくなり、髪の毛がまったくない状態に見えるツルツルな状態へとなっていきます。
AGAの語源
AGAの語源は、Andro(男性) Genetic(遺伝性)Alopecia(脱毛症)の頭文字を取って「AGA」と命名されました。他にも、Androgenetic(男性ホルモン型)Alopecia(脱毛症)という説もありますが、その場合の頭文字は「AA」となりますので、語源は前者で「遺伝する疾患」であることを表しているでしょう。
AGAの進行パターン
AGAで髪の毛が薄くなるパターンは決まっており、1950年代にJames Hamiltonが詳細なAGA進行のパターン表を作成し、1970年代に O'Tar Norwood が改良を加え、両名の名前をとった、「Hamilton – Norwood Scale」が現在の指標となっています。
また、欧米ではあまり見られない「早い段階から頭頂部が抜けていくパターン」がアジア人には多かったため、皮膚科医の高島巌医師が「Hamilton – Norwood Scale」に「Ⅱ vertex型」を加え、日本人では下図の「高島分類」が用いられています。
ご自身の症状を確認してみましょう。
- Ⅰ型:脱毛が始まっていない又はごく初期状態
- Ⅱ型:生え際から「M字型」に進行し始めた状態で本人も自覚していないことが多い
- Ⅱa型:おでこから、全体的に生え際がやや後退しはじめている状態
- Ⅱ型 Vertex型:生え際から「M字型」の進行に加えて、頭頂部が「O型」に脱毛してきた状態
- Ⅲ型:生え際から「M字型」がⅡ型より徐々に進行し目立ってきた状態でAGAだと本人も分かる状態
- Ⅲa型:おでこから、全体的に生え際が後退してきているがまだM字の形をしている状態
- Ⅲ型 Vertex型:Ⅲ型の「M字型」状態に加え、頭頂部が「O型」に進行してきた状態
- Ⅳ型:「前頭部」から「頭頂部」にかけて進行した状態だが、「前頭部」と「頭頂部」の脱毛領域がつながっていない状態
- Ⅳa型:おでこから、頭頂部に向かって大きく生え際が後退し、脱毛箇所が「逆Uの字型」の状態
- Ⅴ型:「前頭部」から「頭頂部」にかけて進行し、「前頭部」と「頭頂部」の脱毛領域がほとんどつながっている状態
- Ⅴa型:Ⅳaの脱毛箇所と「頭頂部」の脱毛領域がつながっている状態
- Ⅵ型:「前頭部」と「頭頂部」の両方が、全体的にかなり進行し、側頭部と後頭部以外は脱毛が進んでいる状態
- Ⅶ型:Ⅵ型よりさらに脱毛度合いが進行している状態
AGAは、思春期以降の男性ではいつでも発症しはじめる可能性があり、早い方では10代後半から起こり初め、20代後半~30歳代にかけて割合が増えていきます。2024年に実施した30歳~59歳の国内男性6,000名へのインターネット調査では、AGAを発症しはじめる平均年齢は37.5歳でした。
2004年のデータ
AGAの発症率は、2004年のデータでは、20歳代約10%、30歳代約20%、40歳代で30%、50代では40%以上と日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017」に記載されています。
参考 ⇒ 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
2024年のデータ
また、30~59歳の国内男性6,000人へ調査した2024年の最新のAGA発症率は42.3%で、30~34歳35.8%、35~39歳39.5%、40~44歳41.9%、45~49歳43.0%、50~54歳46.6%、55~59歳では47.0%となり、2004年のデータと比較すると、30代、40代で10%以上高い結果となりました。
詳しくはこちらから
⇒ 薄毛の人はどれくらいいるのか?【日本国内6,000人調査】
中等度AGA・重度AGAの発症率
2024年の調査では、AGAの進行率も調査しており、AGAを発症している42.3%の内訳は、AGA初期7.8%、軽度AGA15.2%、中等度AGA11.9%、重度AGA7.5%の割合で発症しています。年齢別のさらに詳しいデータも掲載しておりますので、詳細は以下ページよりご覧ください。
詳しくはこちらから⇒ 中等度AGA・重度AGAの発症率【日本国内6,000人調査】
AGAを発症する主な原因は「遺伝」による体質です。また、生活習慣も大きく影響し、飲酒(アルコール)、睡眠不足の他、ストレスもAGA発症の原因になることが分かっています。
遺伝
語源にも Genetic(遺伝性)が入っている通り、薄毛は遺伝によって引き継がれたAGA体質であることが一番の原因です。AGAの原因物質である「ジヒドロテストステロン」が体内で作られやすい体質であったり、髪の毛を作る細胞が「ジヒロドテストステロン」に反応しやすい体質を遺伝しているためです。
国内男性6,000人の調査では、父親が40~50歳の時に中等度・重度AGAだった場合、自身のAGA(薄毛)発症率は実に76.7%と非常に高い割合となりました。
また父親だけではく、「父方の祖父」や「母方の祖父」からも70%を超える割合で遺伝しており、父親の家系だけでなく、母方の家系も確認する必要があります。
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⇒ 父親から薄毛(AGA)は77%遺伝する
生活習慣の乱れ
睡眠不足
睡眠不足もAGA発症の原因となることが当院の調査結果で明らかになりました。睡眠時間が7時間の人の薄毛発症率は、38.2%なのに対して、6時間では43.6%、5時間では45.8%、4時間では49.2%となり、7時間睡眠の人がもっとも薄毛発症率が低い結果となりました。
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⇒ 薄毛(AGA)になりにくい睡眠時間は7時間!
過度な飲酒
飲酒がAGA発症に影響があることも、調査の結果判明しました。1週間に「3日以上」「2合以上」の飲酒をする人の薄毛(AGA)発症率は、55.0~59.4%と目立って高く、一方で「飲酒をほとんどしない人」の薄毛(AGA)発症率は33.3%と低く、飲酒は、AGA発症の原因となることが分かります。
詳しくはこちらから
⇒ アルコールの飲み過ぎで55%以上が薄毛発症
ストレス
生活習慣とは別に、日常のストレスもAGA発症の原因となります。とてもストレスがかかっている人の薄毛発症率は49.2%なのに対して、ストレスがあまりない人の薄毛発症率は32.4%で、ストレスもAGA発症の原因となっています。
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⇒ ストレスと薄毛(AGA)の関係
AGAを発症する原因物質は「ジヒドロテストステロン」ですが、どのようなメカニズムでAGAを発症し、薄毛になっていくのでしょうか?正常な時とAGA発症時の髪の毛の成長の違いを比較してみましょう。
正常な髪の毛の増え方
下図は、毛根部分の拡大図です。正常な状態では、「毛乳頭」という指令塔の役割をする細胞が、毛細血管から栄養素を受け取り、IGF-1*1、KGF*2、HGF*3などの成長因子を出し、「毛母細胞」の増殖を促します。髪の毛は、この「毛母細胞」が増殖する際にできたたんぱく質が積み重なったもので、「毛母細胞」の増殖の過程で、髪の毛が作り出され成長していきます。
AGA発症時の状態
前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞には男性ホルモン受容体があり、AGA発症時にはジヒドロテストステロン(DHT)が結合した状態になっています。ジヒドロテストステロンが結合した毛乳頭細胞は、TGF-β*4やDKK1*5などの正常な状態とは逆の「増殖を止める因子」を作り出します。その結果、髪の毛の成長が止まり、早期に退行期へ移行してしまうため、十分に成長していない未成熟の髪の毛の状態で休止期に入ってしまいます。これがAGAを発症するメカニズムです。
男性を悩ませるAGAの原因物質「ジヒドロテストステロン」とはどのようなものでしょうか?ジヒドロテストステロン(DHT)は、男性ホルモン(テストステロン)から「5α-還元酵素」という酵素の働きで作られます。
よく誤解されるのが、「テストステロン」が高いからといって「ジヒドロテストステロン」が多くなりAGAになりやすいとは一概に言えません。遺伝的に、5α-還元酵素の働きが強い場合や、ジヒドロテストステロンが結合する毛乳頭細胞の受容体が過敏な体質の方がおり、AGAを発症させることが分かっています。
ひげや胸毛など、体毛の毛乳頭細胞にもジヒドロテストステロンが結合する「男性ホルモン受容体」がありますが、こちらはジヒドロテストステロンが結合すると細胞成長因子が出され、ひげや胸毛が太く濃くなる傾向にあります。実際に、アンケート調査でも、体毛が濃い人の方が薄毛発症率が高い結果となりました。
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⇒ 体毛の濃さと薄毛(AGA)の関係
また、前立腺にも男性ホルモン受容体があり、ジヒドロテストステロンが作用することで、前立腺の細胞が増殖して大きくなっていくことで尿道を圧迫し、前立腺肥大症となります。
ジヒドロテストステロンは、各所で成長や増殖を促す働きがあるのですが、悲しいことに頭の髪の毛だけは、成長を止めてしまう方向に働き、多くの男性を悩ませています。
AGA治療薬「フィナステリド」を飲むとジヒドロテストステロン(DHT)はどれくらい減る?
AGA治療薬フィナステリド1mgを6週間服用すると、服用前と比較して、血液(血清)中のDHT濃度は-71%、頭皮中のDHT濃度は-64%減少と服用前と比較して半分以上濃度を減少させて、上記のようなジヒドロテストステロンによる髪の毛の成長期が短くなる働きをブロックすることが出来ます。
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では、上記のようにジヒドロテストステロンが、毛母細胞の増殖を邪魔すると髪の毛の寿命はどのように変化するのでしょうか?「正常な場合」と、「軽度AGA」と「進行したAGA」の場合で、ヘアサイクル(毛周期)を見ていきましょう。
正常な毛周期
髪の毛は、1日に約0.3ミリ、1ヵ月で約1cm、1年で12cm程度伸びていき、正常な男性では約3~7年程度1本の髪の毛が維持されています。髪の毛は、同じ毛がずっと伸び続けるわけではなく、成長期➡後退期➡休止期というサイクルで、生え変わっていきます。ヘアサイクルのほとんどは成長期で2~6年程度あり、成長期が長ければ長いほど、産毛から軟毛、硬毛という風にその分髪の毛は太く長くなっていきます。その後成長が止まる退行期が2週間ほどあり、3~4ヵ月間の休止期になります。この期間は毛根の位置が浅くなり、髪の毛を洗う時やとかす時のわずかな力で抜けたり、新しく生えてきた髪の毛に押し出される形で、自然に抜け落ちていきます。
正常な周期の方の髪の毛の状態は、
休止期:約10%程度
成長期:約90%程度
退行期:約1%程度
とされています。
軽度AGAの毛周期
AGAのヘアサイクルは、正常な毛周期とスタートは同じですが、上記でご説明したジヒドロテストステロンの影響で成長期の途中段階で毛母細胞の増殖が邪魔され、十分に成長した太い髪の毛が作られなくなり、細い軟毛が多くなります。また、成長途中で脱毛の指令が毛乳頭細胞から出されるため、十分伸びていない短い状態で、退行期➡休止期となり、抜け落ちて行ってしまいます。毛球も十分に発達していないため、休止期に入っている髪の毛は毛穴からさらに抜け落ちやすくなり、髪の毛がない状態の毛根が増えていきます。成長期が短くなりますが、一方で退行期や休止期の期間は変わらないため、太く長く成長した髪の毛が相対的に減り、髪の毛も細くなっていることから、頭皮の地肌が見えやすい状態となります。
進行したAGAの毛周期
AGAの状態が継続すると毛乳頭細胞の活性がさらに低下していきますので、新たに生えてくる毛はさらに細くまた成長期も短くなっていきます。髪の毛がどんどんミニチュア化されていきますので、小さい「産毛」のような髪の毛が多くなり、最終的には頭皮からでない状態となり、まったく髪の毛がないような状態に見えてきます。
AGA治療で重要なことは、気になりはじめたら、早めに対策をすることです。上記でご説明した通り、毛乳頭細胞や毛母細胞の活性が大きく低下し、髪の毛のミニチュア化が始まってしまうともとの状態に戻すのは時間がかかります。またAGAがかなり進行した状態ですと、毛乳頭細胞や毛母細胞の活性がもとに戻らないこともありますので、症状に気が付いたら早めに対応していきましょう。
13種類のAGA治療方法
日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年」に掲載されている男性向けの13種類のAGA治療方法について、以下のページに治療の「推奨度」と「効果」や「安全性」をまとめています。
内服のAGA治療薬
AGAの進行は、上述のようにジヒドロテストステロン(DHT)の働きによるものですから、AGAの治療では、AGAの原因物質「ジヒドロテストステロン」を作り出す「5-α還元酵素」の働きを抑えることが重要で、その薬が「フィナステリド」と「デュタステリド」です。厚生労働省に治療薬として認可されており、効果と安全性も立証されています。どちらかの薬を服用し、抑制指令を出している毛乳頭細胞を正常な状態に戻す必要があります。
フィナステリド錠1mg(プロペシアのジェネリック医薬品)
デュタステリドカプセル0.5mg(ザガーロのジェネリック医薬品)
フィナステリド、デュタステリドの内服は、どちらも日本皮膚科学会で最高クラスの「推奨ランクA」に指定されています。
参照 ⇒ 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
※2766-2768ページ「CQ1」「CQ2」を参照
ミノキシジルの外用薬
フィナステリドかデュタステリドの服用が治療の第1優先となりますが、費用に余裕がある場合には、血流を促進し毛乳頭細胞へ栄養を届きやすくしたり、毛母細胞の分裂を促し髪の毛の合成を促すミノキシジルの外用薬も併用することをオススメ致します。最近では、ミノキシジルを塗ることで、休止期から新たな髪の毛が生えはじめる発毛効果がある「PDGFA」を増加させることをロート製薬が発表しています。
参照 ⇒ ロート製薬の発毛研究(ロート製薬ホームページ・外部サイト)
当院でも、東和薬品社製の「ミノアップ」と富士化学工業社製の「ミノキシジルFCI」を処方しております。
ミノアップ(ミノキシジル外用薬・東和薬品社製)ミノキシジルの外用薬も、日本皮膚科学会で最高クラスの「推奨ランクA」に指定されています。
参照 ⇒ 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
※2769ページ「CQ3」を参照
IGF-1とは*1
Insulin-like Growth Factor-1 のことで、日本語では「インスリン様成長因子」のこと。筋肉や骨、皮膚などの体の様々なところに存在し、細胞の増殖などに関与している物質。髪の毛においては、毛母細胞に作用して細胞増殖を促すと考えられている。ミノキシジルの外用薬が、IGF-1の産生を促すことが大阪大学の論文で発表されています。
参照 ⇒ 毛の発育制御機構の解明における最近の進歩と育毛剤(大阪大学医学部皮膚科学教室・外部サイト)※226ページ「9.男性型脱毛の治療」を参照
KGFとは*2
Keratinocyte Growth Factorで、日本語では「ケラチノサイト増殖因子」と訳される。別名FGF-7とも呼ばれる成長因子のひとつ。ミノキシジルの外用薬がこのFGF7の産生を高めることを、ロート製薬が発表しています。
参考 ⇒ ロート製薬の発毛研究(ロート製薬ホームページ・外部サイト)
HGFとは*3
hepatocyte growth factorで、日本語では「肝細胞増殖因子」と訳される。細胞の増殖を促す成長因子の一つで、肝細胞の増殖を促進する因子として発見されましたが、多くの組織で産生され、様々な細胞の増殖を促すことが知られており、髪の毛の生成にも関与しているとされています。
TGF-βとは*4
細胞増殖抑制作用があり、細胞増殖・分化を制御し、細胞死を促すことが知られているサイトカイン(細胞の働きを調節する分泌性蛋白の一種)。
DKK1(Dickkopf-1)とは*5
ジヒドロテストステロン(DHT)の分泌に応答して毛乳頭(DP)細胞から分泌される主要な脱毛因子。