輸入確認証(薬監証明)とは

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

更新日:

輸入確認証(薬監証明)とは、医師が患者さんの治療を目的として海外から医薬品を輸入する際、通関時に必要となる書類のことです。
所轄の厚生局に対して必要書類を提出し、「輸入報告書」の厚生労働省確認欄に「厚生労働省確認済」の押印がなされ、あわせて薬事監査専門官や毒物劇薬監視員の担当者名と押印が入ったものが、いわゆる輸入確認証(薬監証明)と呼ばれる書類です。

ただし、輸入確認証(薬監証明)はあくまでも「その医薬品を輸入することを国が通関上認めた」という証拠に過ぎず、安全性や品質を保証するものではありません
つまり、輸入確認証(薬監証明)が発給されているからといって、偽薬や粗悪品ではないと断言できるわけではなく、偽物である可能性も残っているという点に注意が必要です。

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必要な提出書類について

  • 輸入報告書(別紙第1号様式)記載例・・2部
  • 商品説明書(別紙第4号様式)記載例・・1部
  • 医師免許証のコピー・・1部
  • 仕入書(Invoice)のコピー(注文書ではなく発送元が輸入者宛てに発行した文書の写し)・・1部
  • 必要理由書(記載例及び注意事項)・・1部
  • 航空便の場合:航空貨物運送状(Air Way Bill)の写し・・1部
  • 船便の場合:船荷証券(B/L)の写し・・1部

ここの書類で大事なのが必要理由書です。記載例及び注意事項を見ていただけるとおわかりいただけるのではないだろうか。

《記載例抜粋》
「医療従事者個人用」とは、「治療上緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合であって、輸入した医療従事者が自己の責任のもと、自己の患者の診断又は治療に供すること」をいいます。したがって、必要理由書の作成にあっては、以下の点について記載して下さい。

ア) 治療上の緊急性があること
※「治療上の緊急性」とは、「患者の生死に関わる場合」や「今、輸入した医薬品等をもって治療しないと、その機会を逸してしまう場合」等を指します。
イ) 国内で市販されている医薬品等が使用できない理由
ウ) 輸入する医薬品等を使用しなくてはならない理由
※商品説明書に用途を記載している場合でも、こちらにも記載して下さい。
エ)輸入する数量の根拠(必要性)

医療従事者である輸入者自らの責任のもと、すべての責任を負うことを記載して下さい。
例:私、厚生労太郎は自らの責任において、輸入した医薬品等について、管理等を行い、自己の患者の診断又は治療に使用し、生じうる全ての責任を負います。

輸入後に、輸入報告書に署名した医師本人が、他の医師などにその薬剤を使用(処方)させたり、譲渡した場合は、医薬品医療機器等法(旧薬事法)違反となり処罰の対象となります。
また輸入した薬を使用する際には、患者さんに対して
◆国内では未承認の薬であり、医薬品医療機器等法に基づく品質・有効性・安全性の確認が行われていないこと
◆万が一、重篤な副作用が生じても医薬品副作用被害救済制度の適用外となること
といったリスクについて、医師が自ら十分に説明する義務が課されています。

そもそも、なぜ医師等による医薬品の輸入が認められているのでしょうか。
その趣旨は、患者さんの治療に必要な医薬品が国内で承認・流通しておらず、代替となる治療手段も存在しない場合に、例外的に海外の医薬品を使用できるようにするためです。
つまり、この制度は国内で入手可能な医薬品を補完するためのものではなく、国内に治療手段が存在しない患者さんを救済するために設けられた例外的な仕組みと考えるのが妥当でしょう。
言い換えれば、治療を必要とする患者さんと、その患者さんに対して何とか適切な治療を提供したい医師のために、薬機法上の例外として認められている制度に過ぎません。

さらに医薬品には特許期間があり、国内ではまだ特許満了前でジェネリック医薬品が発売されていない一方、海外ではすでにジェネリックが存在するケースもあります。
このような海外ジェネリックを、「仕入れコストを抑えられるため、国内正規品より高い利益率を確保できる」という理由だけで多くの医師が患者への処方目的で個人輸入するようになってしまえば、医薬品に特許期間を設けている制度趣旨そのものが損なわれます
新薬開発に投じられた莫大なコストの回収が妨げられれば、将来の新薬開発の意欲や投資を削ぎ、結果として新しい治療薬を待つ患者さんに不利益をもたらす可能性すらあります。

以上を踏まえると、医師は輸入確認証(薬監証明)発給制度の趣旨を正しく理解し、「合法だから」といった理由だけで、粗悪品や偽薬を掴まされるリスクのある個人輸入に安易に依存すべきではないと考えるのが常識的でしょう。
医師に認められた権限や制度上の権利は、決して濫用してはならないものであり、ましてや己の利益を最優先するための手段として用いることはあってはならないと言えます。

まず前提として、ED治療は一般に治療上の緊急性が高いものではありません。加えて、国内には同一有効成分を含む正規医薬品および後発医薬品が複数承認・流通しており、代替手段は十分に確保されています。
具体的には、バイアグラおよびシルデナフィル錠(バイアグラジェネリック)レビトラのジェネリックであるバルデナフィル錠シアリスおよびタダラフィル錠(シアリスジェネリック)など、複数の治療薬を国内で適法に入手することが可能です。

このため、厚生労働省が示している輸入確認証(薬監証明)発給の条件である「国内に代替薬がなく、治療上どうしても必要」という要件から考えると、ED治療薬に関して輸入確認証(薬監証明)が発給されるケースは本来想定しにくいと考えるのが自然です。

しかしながら、複数院を展開するED・AGA治療専門の某男性クリニックにおいて、国内でまだ特許期間が満了していない時期から、ED治療薬であるシルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィルの海外製ジェネリックを「輸入確認証(薬監証明)を取得している」と謳って処方しているという話が伝わってきています。

仮にED治療薬に対して輸入確認証(薬監証明)が発給されている事実があるとすれば、「国内に代替薬が存在する場合は認めない」とされる発給要件との整合性について疑問が生じます。
その場合、発給条件の運用が適切に機能していないのではないかという懸念を抱かざるを得ず、厚生局側のチェック体制や審査の在り方についても検証が必要と言えるでしょう。

一方で、実際には輸入確認証(薬監証明)が発給されておらず、「輸入確認証(薬監証明)を取得している」とうたっているだけという可能性も否定はできません。
いずれにしても、外部からは実態を確認しづらく、患者側が「輸入確認証(薬監証明)がある=安全」と誤解してしまう危険性がある点が問題です。

さらに重要なのは、仮に輸入確認証(薬監証明)が発給されていたとしても、「輸入報告書に署名した医師個人が、他の医師等にその薬剤を使用(処方)させたり、譲渡すると医薬品医療機器等法違反となり処罰対象になる」というルールがあることです。

該当クリニックは10院以上を展開し、年中無休で診療しているとされています。
この状況で、「各院で常に輸入報告書に署名した医師本人だけが処方を行っている」と考えるのは現実的ではなく、複数の医師が交代で処方を行っていると推察されます。

そうだとすると、輸入報告書に署名した医師以外の医師が、海外から個人輸入したED治療薬を処方している可能性があり、これは一般論として医薬品医療機器等法違反に該当し得る状態と言わざるを得ません。
あくまで個別の事案については行政や関係機関の調査を待つべきですが、制度趣旨から大きく逸脱した運用が行われていないかどうか、慎重な検証が求められる領域だと考えます。

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非正規品を処方するクリニックは避けたいと思っている皆様のために以下のようなページも作成して詳しく説明しているので是非とも参考にしていただきたい。

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