グレープフルーツとED治療薬の併用に注意
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浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修
更新日:
バイアグラ(シルデナフィル)、バルデナフィル、シアリス(タダラフィル)などのED治療薬を服用する際は、グレープフルーツやグレープフルーツジュースとの飲み合わせに注意が必要です。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類には、薬物の代謝に関わる酵素「CYP3A4」の働きを阻害する作用があります。そのため、CYP3A4で代謝される薬と一緒に摂取すると、薬の血中濃度が上昇し、作用が強く現れたり、作用時間が長くなったりする可能性があります。
グレープフルーツそのものだけでなく、グレープフルーツジュースでも相互作用が起こる可能性があります。そのため、ED治療薬を服用する際は、グレープフルーツジュースで薬を飲むことは避け、基本的には水またはぬるま湯で服用するようにしましょう。
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飲み薬として服用したED治療薬は、消化管から吸収されて血液中に入り、全身へ運ばれます。その過程では、薬の成分の一部が小腸や肝臓に存在する代謝酵素によって分解されます。
その代表的な酵素の一つが「CYP3A4(シトクロムP450 3A4)」です。CYP3A4はさまざまな薬の代謝に関わっており、薬が体内で利用される量を調節する役割を担っています。
一方、グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類には、小腸などに存在するCYP3A4の働きを阻害する作用があります。その結果、通常なら代謝されるはずの薬の成分がより多く血液中に移行し、薬の血中濃度が上昇して、作用が強く現れたり、長く続いたりする可能性があります。
シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィルはいずれもCYP3A4による代謝を受けるため、グレープフルーツとの組み合わせには注意が必要です。特にバルデナフィルについては、グレープフルーツジュースによって血中濃度が上昇する可能性が添付文書にも記載されています。
グレープフルーツによるCYP3A4への影響は、単にグレープフルーツを体外へ排出すればすぐに元に戻るというものではありません。フラノクマリン類によって阻害されたCYP3A4の働きが回復するまでには時間がかかるため、摂取した後もしばらく薬物代謝への影響が残る可能性があります。
そのため、ED治療薬を服用する際には、「薬を飲む直前だけグレープフルーツを避ければ大丈夫」とは考えないことが大切です。影響がどの程度続くかは、摂取量や製品、薬剤などによっても異なるため、服用するED治療薬について医師や薬剤師から指示を受けている場合は、その指示に従ってください。
また、グレープフルーツの果実やジュースだけでなく、グレープフルーツの果皮や果皮成分を使用した食品・飲料などにも注意が必要な場合があります。ED治療薬を服用している方は、成分表示なども確認すると安心です。
グレープフルーツ以外にも、フラノクマリン類を含む柑橘類があります。フラノクマリン類は、薬の代謝に関わるCYP3A4の働きを阻害するため、薬によっては血中濃度を上昇させ、作用が強く現れる可能性があります。
ただし、フラノクマリン類の含有量は果物の種類や品種、産地、加工方法などによって異なります。以下は一般的な目安としてご参考ください。
| フラノクマリン類を含む柑橘類 | |
|---|---|
| 多く含む【併用注意】 | 少ない【併用可能】 |
| グレープフルーツ ハッサク ブンタン 夏みかん スウィーティー ダイダイ 金柑 ライム 晩白柚(ばんぺいゆ) サワーオレンジ | レモン オレンジ ネーブル ポンカン デコポン すだち ゆず 温州ミカン 日向夏 |
その他、セリ科植物のセロリやパセリやミツバ、クワ科のイチジクにも含まれますので、大量に食べることには注意が必要です。
気になるようであれば、医師や薬剤師に確認を取ってみましょう。
「ED治療薬の量を減らして、グレープフルーツジュースと一緒に飲めば、少ない量でも効果を高められるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、ED治療薬の効果を意図的に強める目的で、グレープフルーツやグレープフルーツジュースを利用するのは絶対にやめてください。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類には、薬の代謝に関わるCYP3A4の働きを阻害する作用があります。そのため、ED治療薬と一緒に摂取すると、薬によっては血液中の有効成分の濃度が上昇し、作用が強く現れたり、作用時間が長くなったりする可能性があります。
また、この相互作用には個人差があるため、「グレープフルーツをどのくらい摂れば、薬がどの程度強く効くのか」を自分で予測することはできません。「薬の量を半分にする」「少量のジュースなら大丈夫」といった自己判断での調整も避けましょう。
ED治療薬は、医師から指示された用量・用法を守って服用することが大切です。グレープフルーツを普段から摂取している方は、服用しているED治療薬との飲み合わせについて、医師や薬剤師に確認してください。
グレープフルーツとの飲み合わせに注意が必要なのは、ED治療薬だけではありません。グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類は、薬の代謝に関わるCYP3A4の働きに影響を与えるため、さまざまな医薬品で相互作用が問題となる場合があります。
代表的なものとして、高血圧などの治療に用いられるカルシウム拮抗薬の一部(ニフェジピン、フェロジピンなど)が挙げられます。これらの薬の中にはCYP3A4によって代謝されるものがあり、グレープフルーツによってCYP3A4の働きが阻害されると、薬が体内で分解されにくくなり、血液中の薬の濃度が上昇する可能性があります。
その結果、薬の作用が強く現れたり、作用時間が長くなったりすることがあります。カルシウム拮抗薬の場合には、血圧を下げる作用が強くなりすぎることで、めまい、ふらつき、立ちくらみなどにつながる可能性があります。
そのほかにも、一部の脂質異常症治療薬、免疫抑制薬、抗不整脈薬などで、グレープフルーツとの相互作用に注意が必要な場合があります。ただし、同じ薬の種類に分類される薬であっても、グレープフルーツとの相互作用の程度は薬剤によって異なります。
「薬を飲んでいるからグレープフルーツはすべて禁止」というわけではありません。一方で、薬によっては重大な影響につながる可能性もあるため、服用している薬がある場合は自己判断せず、添付文書を確認したり、医師や薬剤師に相談したりすることが大切です。
ED治療薬を含め、薬を処方された際には、グレープフルーツやグレープフルーツジュースとの飲み合わせに問題がないか確認しておきましょう。
薬とフルーツの組み合わせでは、「薬の作用が強くなる」だけでなく、フルーツジュースによって薬の吸収が低下し、十分な効果が得られにくくなる場合もあります。
例えば、花粉症の季節に「いつも飲んでいる薬なのに、今日は効きにくい」と感じた場合、薬を飲む前後にフルーツジュースを飲んでいたことが関係している可能性があります。
特に注意したい薬の一つが、花粉症などのアレルギー症状に使用される「アレグラ(有効成分:フェキソフェナジン)」です。フェキソフェナジンは、グレープフルーツジュースだけでなく、リンゴジュースやオレンジジュースなどによって吸収量が低下することが知られています。
これは、フルーツジュースに含まれる成分が、腸管から薬を取り込む際に関わる「OATP(有機アニオントランスポーター)」などの薬物輸送機構に影響を与えるためと考えられています。その結果、薬が血液中へ十分に移行せず、薬の血中濃度が低下する可能性があります。
フェキソフェナジンでは、フルーツジュースと一緒に服用することで、薬の吸収量が大きく低下することが報告されています。そのため、アレグラなどのフェキソフェナジン製剤を服用する際は、フルーツジュースではなく水で服用することが大切です。
また、フルーツジュースによる薬の吸収への影響は、グレープフルーツジュースだけに限りません。リンゴジュースやオレンジジュースなどでも、薬によっては同様の相互作用が起こる可能性があります。
薬を服用するときは基本的に水またはぬるま湯を使用し、薬によってフルーツジュースを避ける必要があるかどうかは、添付文書を確認するか、医師や薬剤師に相談しましょう。